2012-01

たぶんそう

 批評家って基本的に交通整理の役割なんじゃねってことを思った。

あれから7年

 とあるロリコン雑誌の表紙をネット上で見て、そこに書いてあった言葉。
「あれから7年、僕はロリコンのままだ」
 これは何かのキャッチコピーをもじったもののようで、といってもかなりありふれているからむしろこれはすでにデータベース化された言葉だとも思われるけれども、そこにただ「ロリコン」という言葉を埋め込むだけで、何か一つの統一された空気感のようなものを出すというのは、どうもこの雑誌ならではのやり方らしい。ツイッターのボットでそれを知った。
 しかし読めば読むほど「ロリコン」という言葉は、ただそれだけで情けない響きを持っているもので、僕は悲しい。

 で、この雑誌の値段は680円だそうで、今年から文芸誌を一冊買おうと思って、それを群像にしたのだけれども、純文学系の文芸誌は一冊いくらすると思いますか。だいたいどれも、900円台後半といったところで、群像も950円ですよ。
 純文学は売れない、ということに対する嘆きをここで書けばいいのか、それとも漫画雑誌ならばその制作に支払われる労働的・肉体的コストは文芸誌などとは比較にならないだろうに、こんな安価で売られてしまって大丈夫なのか、と心配すればいいのか。
 どちらにせよ、人間というのはできるだけ嘆くように、憂うように、考えがちな生き物のようです。

中学じゃなかったし

 高校の教科書だった。一年と二年で教科書が変わっていたらしい。それもわからなかったし、読んでいても全然気が付かず、最後の文章でやっと思い出した。いかに不真面目だったかというのがよくわかってしまった。
 二年目からいかに内容が高度になったかというのもよくわかった。そりゃ、勘違いするよねってレベルだ。いわゆる高級な文章、とかいえそうなのがたくさんある。マルケスまで載っていた(でも授業では絶対読んでない)。
 それから、先生の違いというのも、当時感じていた以上にテクストを通じて感じられてしまった。やっぱり○先生ってすごかったのねーと。

 明日二年の教科書を読む。目次は明日書く。
 今日は他にはポーの『黒猫・黄金虫』を読了した。声に出して読みたい翻訳文体だったね。身振り手振りまで加えたら面白かった。決して器用な訳文ではないと思うけれど。

豪華なアンソロジー

 目次。
「それぞれの羅針盤」佐伯一麦
「『常識』の常識」中村桂子
「とんかつ」三浦哲郎
「清兵衛と瓢箪」志賀直哉
「言葉の風景」中西進
「しゃぼん玉は丸い」安野光雅
「道程」高村光太郎
「二十億光年の孤独」谷川俊太郎
「シジミ」石垣りん
「羅生門」芥川龍之介
「シーソー」柳田邦男
「石の声が聞こえる」加賀美幸子
「りんごのほっぺ」渡辺美佐子
短歌 与謝野晶子・石川啄木・若山牧水・北原白秋・斎藤茂吉・宮柊二・近藤芳美・寺山修司・俵万智・河野裕子
俳句 正岡子規・高浜虚子・山口誓子・飯田蛇笏・川端茅舎・中村草田男・加藤楸邨・中村汀女・種田山頭火・金子兜太
「沖縄の手記から」田宮虎彦
「爆弾のような問い」鷲田清一
「自己基準と他者基準」鈴木孝夫

 現代文はここまで。それから古文が続く。
 これは平成十四年度版の東京書籍『新編国語総合』の目次。中学校の国語の教科書です。
 ずらっと並んだビッグネームの数々。注釈も細かく、「考えてみよう」という部分はあまり良い質問であるようには思えなかったりもするんだけど、非常に丁寧な造りになっていて、読んでいても結構面白い。
 アンソロジーとして見ればちょっと豪華すぎるぐらいの大判振る舞いで、なんだ、贅沢しまくってたんじゃないかという感が。

 というわけで通読する勢いで読んでる。
 楽しい。

読書日記 1/25

 風呂に入りながらマルセル・ムルージ『エンリコ』を読む。そのまま一気に読みきってしまった。悲惨な子ども時代を描写する。絶望的な状況なのに、あまり感情的なものは前に出てこず、むしろ当事者的な無関心が目立っている。最後になってようやく「悲しい」という言葉が前に出てきて、ところがその悲しいも何が悲しいと言うよりただ漠然と悲しいらしい。作者は役者や歌手など幾つもの顔を持つ人物で、この小説も自伝的な色合いが濃いのだそうだけれど、その時代を振り返るというよりも追体験するようで、殆ど作品として独立しているように思える。
 食べるものがないからといって蝿を食べるシーンが鮮烈。けれどあまりにも普通に書かれているから最初は何が起こってるのかよくわからなかった。「当事者的な無関心」といったけれども、そうした奇妙な距離感が面白かった(面白いというと変かもしれないけれど)。
 同時進行でポーの『黒猫・黄金虫』を読んでいるけれど、久々のポーの文体になかなかすっと入り込めず時間がかかっている。今読むとどうしても楳図かずおの絵が浮かんでしまうなあと、不純な感想も抱きます。

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Author:仁井田
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